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「自立支援」<「サービスの沼」

私が医療福祉の仕事に携わり、社会人として大変お世話になった、西尾市の医療法人 仁医会(なかざわ記念クリニック、あいちリハビリテーション病院)に在職中、大勢の方と面接をする機会がありました。

 

患者様は大病を患い、ご家族様は今後の生活が不安になる中、刻々と時間だけは進みます。

 

現実を受け入れ、選択、決断しなければなりません。

 

患者様、ご家族様にとっては、病院側のシステムに合わせなければならず、その全てが受動的でありストレスも溜まる時間になります。

 

その想いを汲みながら、変化する心情を察しなければなりません。「言った言わない」ではなく、必ず気持ちが変化するを前提で支援していきます。

 

「話が行ったり来たり」で、結果的には同じ場所に着地するかもしれませんが、気持ちは大きく弧を描き、たまたま着地した地点が一緒だったというケースは少なくありません。

 

支援者は、現状を整理し、変わりゆく気持ちを汲みながら、予後を見据えます。

 

そして支援者は、公的サービスや保険サービスなどの社会資源の提案は、”最終手段”とすることを大前提とします。

 

今回のブログでは、”介護保険サービスの沼”について。

”介護保険サービスの沼”と私は言っていますが、利便性の高いサービスを利用し続けると、もうそのサービスから抜けられなくなります。

 

例えば、デイサービスの利便性の高いサービスは3点。

 

・送迎

・食事

・入浴

 

これらのサービスは、1日型デイサービスでは必須のサービスとなっています。

 

2006年の介護保険改正時に、要支援が、「要支援1と要支援2」に分かれ、要介護1の方で、「自宅で入浴ができるADLの方」は要支援2程度となったと記憶しています。

 

先述の医療法人 仁医会では、愛知県で第1号となる介護予防専門のデイサービスの立ち上げに携わり、この辺りの制度改正の詳細などはしっかりと理解した上で、法人内では、外来リハビリ、デイケアとの棲み分けをし、顧客分析をした上で現場を奔走しました。

 

これは、保険制度を利用するお客様(患者様)にとっては、どうにも合わせていくしか方法がありません。

 

要支援2の方は可能な限り自宅で入浴ができるように働きかけ、短時間の予防専門デイサービスでも十分生活が組み立てられるよう支援してきました。

 

担当ケアマネジャーや、当時立ち上げられたばかりの包括支援センターとも連携しながら、”自立支援を前提”に私たち法人が憎まれ役を買ってでも、一本筋を通して主張しなければならなかったのです。

 

結果的には、要介護向けのサービス(上記の利便性の高いサービス)とは線引きし、その方の自立支援に繋がったと思っています。

 

抜けられないという意味では、

生活保護受給者の殆どの方が、なぜ仕事に就かないのか。就けない理由がある方も勿論いらっしゃいますが、「働かなくても生活できる」という構造に問題があります。

 

イマージュを利用されていたB様(60代)は、脳卒中で入院後、自営業の仕事を辞めざるを得ず、生活保護を受給しながら、イマージュで機能訓練を続けました。

 

その成果(?)か、我々がメンターとなり、職業訓練を受けに行かれたり、元々持っている資格を活かし、再就職されました。

 

再就職したことで、生活保護からも離脱しましたが、「給料が少ないから、生活保護を受けていた方が楽だったよ。だって、家賃も病院代も払わんでいいんだから。」と。ごもっともです。

 

B様は、昨年の岡崎市の制度改正の影響で、8年間利用されていたイマージュを卒業されましたが、現在も仕事を続けられています。

 

社会復帰し、生活保護と介護保険等から離脱できた、自立支援が形になった事例です。